Q.虫歯とミュータンス菌について教えてください。
A.口の中には、常に多くの細菌が住んでいます。
その中には、虫歯の主な原因菌と言われるミュータンス菌があり、
虫歯の多い人や、虫歯になりやすい人の口の中にはミュータンス菌が多く、
その性質は虫歯の少ない人に比べて虫歯をつくりやすいと考えられています。
新生児のうちは,口の中へのミュータンス菌の感染はなく、その感染は、
本人と接する機会の多い母親からのものが多いと言われています。
Q.1歳半を過ぎても哺乳ビンが手放せないのですが、歯への影響はありますか?
A.なるべく早く止めるようにした方が良いでしょう。
広範囲にできる虫歯の原因の一つとして哺乳ビンのダラダラ使用があります。
特に寝る前や夜間の哺乳ビンの使用は虫歯を積極的につくっているようなものです。
また、口の周りの筋肉の発達を遅らせることにもなります。徐々にコップに切り替えましょう。
Q.3歳を過ぎた頃から虫歯が急に増えたみたいなのですが・・・
A.3歳頃になると、子供自身の人付き合いも広がり、
外に出て甘いものやスナック菓子を口にすることが多くなります。
乳歯はほとんど生えそろい、歯と歯の間に見えにくい虫歯が出来てくる時期でもあります。
乳歯の神経はまだ未熟なので、あまり痛みを感じることもなく虫歯の発見を遅らせる原因の一つになります。
お子さんが痛みを訴えた時には、大きな虫歯になっていることが多いのです。
定期的な健診を受けて早期発見と早期治療、家庭では歯みがきを心がけましょう。
Q.生えたばかりの歯は虫歯になりやすいのですか?
A.生えたばかりの歯の表面は、やわらかく酸に侵されやすいので、
実際に歯が生えてから表面が固くなってくる1年くらいの間に虫歯は出来やすいと言えます。
歯の質を問題にするよりも歯に汚れが付かないようにする、特に甘いものの摂り方や、
食後の歯みがきを習慣づけることの方が大切です。
Q.子供が歯みがきを嫌がります。どうすればよいでしょう?
A.まず、歯ブラシを持って遊ぶこと(その時はお母さんが必ず見守って欲しい)からはじめ、
歯みがきが生活習慣の一部になるよう家族みんなで努力するようにしたいものです。
お母さんのひざの上で寝かせみがきをすることはスキンシップの1つでもありますので、
お子さんにとって楽しいものになるようにしてください。
Q.子どもが歯の治療をいやがります。どうすればよいでしょう?
A.恐怖心の強い子の場合は治療をいやがることがあります。
泣いていやがるときは、子どもが抱いている不安や恐怖心を取り除くことから始める場合があります。
最初は診療室に入るだけ、次は治療の椅子に座ってみる、というように少しずつ慣れさせます。
うまくできたら、大いにほめてあげてください。普段からしかるときに歯医者さんを引きあいに出すなどして、
恐怖心を植えつけることがないように注意することも大切です。
また、痛くなってからの治療は大人でもつらいものです。
日頃から予防のために通院していれば、虫歯になる危険性も低くなりますし、
万一虫歯になったとしても軽度ですので短時間の簡単な治療で済みます。
Q.乳歯の虫歯は、ほうっておいて大丈夫でしょうか?
A.乳歯の虫歯は永久歯の歯ならびを悪くします。
また、かみ合わせが悪くなる(不正咬合)原因にもなります。
このように、乳歯と永久歯は密接な関わりがあります。
乳歯の虫歯を放っておくと、
永久歯に悪い影響が出てこの先ずっと歯のことで苦しむことになりかねませんので早めの治療を心がけて下さい。
Q.歯みがき剤は使ったほうがいいのでしょうか?
A.使わなければならないことはありません。
歯みがき剤をつけた方が喜ぶようでしたら、ほんの少し付けてあげると良いでしょう。
口中泡だらけにすると、どうしても歯みがきをする時間が短くなったり、すみずみまで歯ブラシが届きません。
お母さんの仕上げみがきを十分にしようとしても、すぐにうがいをしたがるので思うようには出来ません。
ただし歯みがき剤には小さな粒子による研磨作用、洗剤と同じ様な清掃作用もあります。
さらに特殊な働きを期待するフッ素や酵素が入っているものもあります。使う時はフッ素入り歯ミガキを使いましょう。
Q.指しゃぶりを止めさせるにはどうすればよいのでしょうか?
A.3歳ぐらいまでの指しゃぶりをあまり気にすることはありません。
親と子だけの生活から、友達遊びもだんだん出来るようになります。
多くの子供は社会性が芽生えたり、他に興味の対象をみつけ、指をしゃぶる回数が減ってきて、
いつの間にか止めてしまいます。
しかし、奥歯のかみ合わせが出来てからもひどい指しゃぶりが続いているようですと、
顎の骨の発育や歯並びに悪い影響を与えますのでやめさせる必要があります。
その時に無理に止めさせるのではなく、子供自身に指しゃぶりは良くないのだという意識を持たせ、
徐々にやめていくようにします。指しゃぶりをするたびに怒ってはいけません。
Q.上唇小帯異常 とは?
A.上唇小帯は上の顎の前歯中央の二本の歯の間にあるひもで、これが短かったり、
裏側まできつく付いていると正中離開(中央の前歯の間に大きな隙間が出来る)や、口の中の自浄性を悪くし、
虫歯になりやすくなることがあります。
しかし、多くは永久歯への交換、萌出、歯槽部の発育により、小帯の付いている位置が上へ移動し、
離開も徐々に閉鎖していくので、乳歯列期では経過観察することが多いです。
また、永久歯に生え変わりの時期になっても状態に変化がない場合には切除したり形成手術をすることもあります。
Q.舌小帯異常 とは?
A.舌小帯は舌の裏側にあるひもで、
この小帯が短かったりすると舌を前へ出したときに舌の中央部がハート型にくぼむので、
診断の目安になると思います。
舌小帯が短いと舌の動きが制限されるために、発音障害や咀嚼障害を起こすこともあります。
このような障害がある場合、切除や伸展手術や舌の運動トレーニングをする場合もあります。
Q.子供が、あごが痛いと言うのですが、どうすればいいでしょうか?
A.顎関節症とは、あごの「ねんざ」と考えると分かりやすいでしょう。
「ねんざ」と同じように、痛いときは安静にすることが絶対に必要です。
痛い方の顎で、固いものを咬まない、頬杖をつかない、わざと大きな口を開けないなど気を付けましょう。
ほとんどは一時的なもので治ります。
Q.乳歯の歯並びにすき間があるのですが?
A.乳歯の歯並びには成長と共にすき間ができる(発育空隙という)のが正常です。
これは後から、乳歯より大きな永久歯が生えてくるスペース確保のためです。
最近、このすき間がないお子さんが目立ってきています。すき間がまったく無いと歯並びが悪くなる原因にもなります。
Q.子供の前歯が斜めに生えてきたけど大丈夫?
A.子供の前歯が最初からまっすぐに生えることは珍しく、たいていは斜めに生えてきたり、
隙間が開いたりします。生えかわる時期に開いて生えることを「醜いアヒルの子時代」と呼びます。
7歳頃に始まり、14歳頃の犬歯が生える頃には改善されます。
生え進んでいく過程で歯の向きやねじれは治っていく場合が多いのですが、
隙間がなくねじれている場合は自然には治りにくいかもしれません。
Q.受け口だが、そのままで治りますか?
A.幼児に自然な状態のかみ合わせをさせることは難しく、
下顎を前に突き出して咬むこともあり、実際には異常でないことも多いです。
しかし乳歯が全部生えそろう頃になっても反対のかみ合わせの場合、
一部には乳歯のうちに治療した方が良いケースもあります。
Q.子供の詰め物がはずれやすいのはどうしてですか?
A.確かに、はずれやすく、色々問題があると思います。
1.乳歯は永久歯に比べ、歯の厚みががないため、詰め物も比較的薄くなりがちです。
そのため、機械的維持力が期待できません。
2.乳歯のつめものに使う金属は銀合金でさびやすく、セメント接着力が落ちること。
3.交換期では、歯の動揺や、隣の歯が生えて来ることにより、詰め物にはずれる力が加わること。
4.ガム、あめを食べる機会が多いこと、歯ぎしりをする子が多いことなど、これらも詰め物をはずす力となります。
5.子供は唾液が多く、つめものをセメントで留める時に汚染されやすいこと。
6.治療の時、協力が得られず、精度的に劣りやすいこと。
などがあげられます。いずれも、虫歯や歯が欠けていなければ、再度、つけ直すことができます。
Q.フッ素はいつから使用したらいいのでしょうか?
A.生え始めの歯はフッ素をよく取り込みますので、理論的には生えたら塗るということになります。
永久歯なら6歳ごろからですから子供もいやがりませんし、歯みがきもできますから、効果は高いでしょう。
乳幼児の場合、じっとしていられず、嫌がったりして、その大半が唾液で流れてしまうこともあります。
このためとくに定期的に塗る必要があります。
Q.フッ素のうがいとか、フッ素入り歯みがき剤は効果ありますか?
A.もちろんあります。フッ素の溶液でうがいをするフッ素洗口は1日1~2回で30~40%の抑制率。
継続して使えば、効果的な方法です。
フッ素入り歯みがき剤はMFP(モノフルオロン酸ナトリウム)入歯みがき剤というのがありますが、
これは歯質の強化というより、歯垢の中のむしば菌の酸を作る能力の抑制が強いようです。
フッ化ナトリウムを高濃度に含む、歯の表面に直接作用して歯質の強化をはかる歯みがき剤は毎日使用することで、
歯科医院で歯面塗布するフッ素と同じような効果をねらっています。
歯みがき剤は使用方法によりますが、15~25%の抑制率といわれています。
Q.フッ素の作用について教えてください。
A.フッ素には直接歯に作用するものと、口腔内に作用するものがあります。
1.直接歯に作用する場合、歯の表面にフルオロアパタイトを生成し、
結晶性を向上させ歯を硬くすることが知られています。
また、再石灰化を促進させます。(フッ素は直接歯のエナメル質に作用して、
フルオロアパタイトという非常に酸に対して抵抗力のある物質を作り出します。
また、C1,C0程度のエナメル質にとどまっている虫歯も再石灰化によって修復されることもあります。)
2.口腔内に作用する場合、適量なフッ素が存在するとミュータンス菌の活動を抑制して、
細菌の持つ酸産生能力を抑えます。
この二つの作用で、フッ素は虫歯予防に非常に有効です。
Q.シーラントとはなんですか?
A.生えて間もない歯は表面のエナメル質が未成熟で、虫歯菌が作り出す酸に対する抵抗力が弱いので、
虫歯にたいへんかかりやすくなっています。
また、臼歯(奥歯)には深い溝があって、食べかすや歯垢がたまりやすく、
この溝から虫歯が非常にできやすいのです。
また上下の歯が生え揃うまでは、特に歯垢がたまりやすい状態です。
シーラントというのは、あらかじめ、この溝を合成樹脂で埋めてしまう予防処置です。
生えたばかりの歯にシーラントをきちんとしておけば虫歯を予防する効果が大きいのです。
フッ素と組み合わせることによって予防効果はさらに高まります。
Q.キシリトールとはなんですか?
A.キシリトールは白樺などの樹脂から抽出される物質に水素を加えて作られる天然素材の甘味料で、
砂糖と同程度の甘さを有しています。
虫歯は虫歯菌であるミュータンスが糖を発酵させて作る酸によって歯が溶けることが原因の一つとされていますが、
このキシリトールは殆ど酸になることがないだけでなく、虫歯菌の働きを抑える効果もあることが知られています。
ですが、食べ過ぎるとおなかがゆるくなる事があります。ただし汚れがとれる訳ではなく、歯みがきの代わりにはなりません。
Q.キシリトールって歯にいいのですか?
A.キシリトールは、多くの野菜や果実に含まれている天然の甘味料で、砂糖と同じくらいの甘さがあります。
カロリーは砂糖の1/4ほどで、血糖値に影響をあたえない為、
以前より糖尿病の患者さん向けに医療品原材料として使われております。
砂糖等の糖分と違い、口の中で「虫歯菌」に代謝されず、菌は歯を溶かす酸をつくれません。
酸ができにくくなると、虫歯菌の住みかである「プラーク」は歯みがきすると落ちやすくなります。
また、虫歯菌の発育を抑えたり、エナメル質の再活性化にも効果があると言われています。